焙煎マコモとスギナ、山の手ざわりが香る一杯

焙煎マコモとスギナ、山の手ざわりが香る一杯

「からだをほどく」里の香り

島根県大田市の山里で育った真菰(まこも)とスギナを、低中温で焙煎してブレンドしました。
ひと口めは真菰の香ばしさ、後からスギナの野の息づかい。仕事の合間、食後、湯上がり。「ふーっ」と肩が落ちる時間に合う、穏やかな一杯です。

真菰は信頼できる野草開発のパートナーが自ら育てた株を用い、秋の旬にはそこから採れるマコモダケが「本と喫茶のゲンショウシャ」の副菜にも顔を出します。

スギナは群落の回復を見ながら採り尽くさないルールで必要な分だけ。

山の恵みと台所が直結する感覚を、そのままお茶にしました。

真菰という草――田の気配と、神事の記憶

真菰はイネ科の多年草、学名 Zizania latifolia。日本では古くから屋根材や薦(こも)に編まれ、葉や茎は生活の道具になってきました。中国・日本では、内生菌 Ustilago esculenta が宿った茎が肥大して生まれるマコモダケを食用とする文化があり、やわらかな甘味と食感で知られます。
出雲では、毎年6月の凉殿祭(すずみどののまつり)が「真菰の神事」とも呼ばれ、参道に敷かれた青々とした真菰の上を國造が進む作法が伝わります。
さらに御本殿や瑞垣内の社殿の注連縄は真菰で奉製され、地元の講社による奉納が続いています。

“神、宿る草”としての記憶は、今もこの島根の地の日常に息づいています。

スギナという草――山のミネラルをたたえる古い植物

スギナ(学名 Equisetum arvense )は、太古の姿を残すシダ植物のなかま。細胞壁にシリカ(ケイ素)を多く含むことが知られています。
乾いた野趣味の強い香りは、焙煎マコモと相性がよく、土の記憶を一口に凝縮したような後味に。

伝承上は「からだのめぐり」に寄り添う飲み物として親しまれてきました(欧州では伝統的植物製剤としての扱いがあり、“利尿のハーブ”という文脈で言及されます)。

畑から茶葉まで――大田市で育ち、焙煎で“ほどく”

  • 真菰:パートナーの畑で育て、必要分だけ刈り取り。洗って広げ、重なりを避けて乾燥。焙煎後の香りが奥行きを演出します。

  • スギナ:群落ごとに間引くように採取し、同一株への負荷を避けます。砂や埃を落とし、60度のお湯にくぐらせ、薄く広げて乾かします。

  • 焙煎:真菰を低中温の二段火入れ。最初の火で青味をやわらげ、仕上げの火で香ばしさを付与。焦げを避け、香りが先に立つ設計に。

  • ブレンド:年や採取地で香りが揺れるため、試飲→比率調整→再試飲を重ね、ティーバッグに充填します。

「香ばしさ」と「野の息」の二重奏

湯にくぐらせると、まず真菰の香ばしさが立ち上がり、続いてスギナのグリーンノートが静かに合流。余韻はからりと軽く、食後の一杯に向きます。氷で割った水出しでは角がとれ、さらりと喉を抜ける“涼”の表情に。

「暮らしの体験」で語る、やさしい効

  • 気分の切り替えに:香ばしさが呼吸を深くしてくれる感じ。

  • 食後に:口中をからりと整える軽い後味。

  • 就寝前に:カフェインフリーゆえ、夜でも穏やか。
    世界各地でハーブが暮らしの飲み物として続いてきた理由と重なります。

本ブレンドは嗜好飲料です。疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。

スギナ(Equisetum arvense)にはチアミナーゼ(ビタミンB1分解酵素)が報告されています。熱により失活する性質があり、80℃以上での加熱で活性が消失したとの報告があります。本品は乾燥・焙煎のうえ約90℃で抽出する設計です。※体調・体質により個人差があります。European Medicines Agency (EMA)

妊娠・授乳中の方、持病や服薬中の方は飲用前に医師・薬剤師へご相談ください(妊娠・授乳期のスギナ製剤は安全性情報が限られるとの公的記述があります)。PMC

まれにイネ科アレルギー等で違和感を覚える場合があります。初めての方は少量からお試しください。

飲み方の目安(ホット/アイス)

  • ホット:1包(2.5g)/約200ml/約90℃/2–3分。香り重視は短め、味重視はやや長め。

  • 二煎目:やや長め(+30–60秒)。

  • 水出し:2包/水1L/冷蔵庫で6–8時間。翌日中に飲み切りを。

  • 内容量:15g(2.5g×6包)、カフェインフリー。小生活 konamaiki

台所から田んぼまで――小さな循環を、手ざわりで

秋の台所ではマコモダケの副菜が湯気を立て、湯のみでは真菰とスギナが香る。畑と食卓の距離が短いほど、暮らしは具体的になります。
真菰は田の植物、スギナは野の植物。ちがう出自が、焙煎の火で「同じ湯気」になる。そのささやかな一致を、今日も一杯の中に見つけてください。

今回紹介したブレンド

 

当記事で紹介している商品はこちら
焙煎マコモとスギナ 6包
2,500円

  • 名称:焙煎マコモとスギナ

  • 原材料:真菰、スギナ(いずれも島根県大田市)

  • 内容量:15g(2.5g×6包)

  • 抽出目安:1包に200ml・約90℃・2–3分(水出し可)

参考

Zizania latifolia(真菰)/マコモダケ:内生菌Ustilago esculentaによる茎の肥大が食材となる。PMC+1

出雲大社の真菰神事と注連縄:凉殿祭(真菰の神事)、真菰の注連縄奉納の記録。出雲大社+1

スギナのシリカ:スギナ属は生体シリカの沈着が顕著。PMC

スギナの伝承的用法(欧州):伝統的植物製剤としての位置づけ。European Medicines Agency (EMA)

スギナのチアミナーゼと熱失活:80℃で失活、90℃抽出の妥当性の背景。European Medicines Agency (EMA)

スギナの妊娠・授乳期の注意喚起:安全性情報が限られるため慎重に。